食後に異常に眠くなる

子供のころ「食べた後に寝転がると牛になるぞ!」と言われた記憶がありませんか?「牛になんかなるはずないよ...」と思いながらも、しぶしぶ姿勢を正していました。なぜ牛なのか、豚じゃいけないのか良く分かりませんが、行儀の問題など、しつけのために生まれた言葉なのでしょうね。 ただこの言葉が生まれた背景は、食べた後は横になりたくなるという人間の本能がある気がします。食事をした後は消化のためにあまり動かない方が良いため、寝転がることが決して悪いことには思えません。中国やヨーロッパなどでは昼寝の習慣が残っている理由も、食事の後ですぐに働くと体に良くないという経験があるからではないでしょうか。食後多少眠くなる、という程度は普通であり、何ら問題はありません。逆にガツガツ食べて、すぐに仕事に戻る方が胃腸に良くないと思われます。 しかし、異常に眠くなってしまうという方は要注意です。そこには食べ方の問題か、胃腸の弱さが隠れていると考えられます。具体的には、中医学で云う「脾気虚」である可能性が高いとされます。「脾気虚」とは「脾」すなわち胃腸機能の「気=エネルギー」が足りない状態を言います。簡単にいえば胃腸の働きが悪いということですね。この「脾気虚」体質は、生まれ持ったものであるケースも多く、一般的には疲れやすい、食べ過ぎで下痢をするなどの症状を訴える傾向があります。この体質の方は、胃腸のキャパシティーが限られているため、食べ物の消化吸収がなかなか進みません。よって、少量ずつ食べる必要があります。しかし「脾気虚」の方が普通の人と同じぐらいの量を食べると、体は胃腸に「気」を持っていかれて、体を動かすエネルギーの余裕が無くなり眠くなってしまうのです。よって対策は胃腸のキャパシティーを上げるためのお薬を服用することになります。「六君子湯(りっくんしとう)」や「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」などが代表処方です。「脾気虚」の方に限らず、食後に非常に眠くなったら食べ過ぎた、と考えて下さい。これは胃腸に負担がかかっていることを示しています。そうならないように食べ過ぎには注意することが一番です。

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