歯ぎしりは自分ではなかなか気がつかない症状の一つです。
激しい方は、自分の歯ぎしりの音で目が覚めたり、歯が欠けるなどの症状が出て気がつくようですが、普通は一緒に寝ている人から指摘されて初めて知るというケースが多いと思います。それほど実害がない「歯ぎしり」ですが、他人と旅行に行くことを躊躇したりするなど不便が生じたり、噛み合わせなどの問題が隠れていたりすることもあり、何もしないで良いという症状でも無いように思います。なお、私の印象では女性に多いように感じます。歯ぎしりの原因は、西洋医学的にも明確にされておらず、ストレスなどの関与が指摘されています。あまりにも激しい場合にはマウスピースなどを使うと良いようですが、心因性のものであれば漢方の考え方も役に立ちそうです。また子供の歯ぎしりも多く、その対策としても漢方薬が使用されることがあります。
歯ぎしりは漢方では「肝」の問題として捉えることが多いようです。「肝」は自律神経系など精神面とも関わりが深い「臓」とされています。この部分の失調によって、体内に"風"が起こり、一種の"震え"が生じて、それが歯ぎしりとなると考えます。ちなみに、けいれんも同様の仕組みで起こるとされます。このように考えると「肝」の「血」が失われて、その失調をきたしやすい女性に歯ぎしりが多いという私の印象も、あながち間違ってはいないような気がします。また子供も「肝風」が起きやすいとされ、夜泣き、ひきつけなどの原因になるとされます。同じような関連で歯ぎしりも起こるのでしょう。「肝風」を抑える漢方薬としては「抑肝散(よくかんさん)」などがあります。歯ぎしりがとても気になる方は、しっかりと「弁証」を専門家にしてもらい、「肝」に問題がありそうであれば漢方薬の服用を検討しても良いと思います。
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