尿や便など排泄がスッキリできないと、人は不快感を強く感じます。出口がスムーズでないと、入り口にも影響を与えますので、結果として体の循環が滞ってしまうのです。よって便や尿をスッキリ出すことを望む気持ちは、人間の本能とも言えるでしょう。しかし尿に関しての悩みは多く、出ないこともあれば出過ぎることもあります。
尿は実は複雑な仕組みで制御されているため、一度歯車が狂うとなかなか不具合が戻りません。また外に接している部分のため、排尿器官は細菌などに侵されやすい(漢方的には邪の侵入を受けやすい)という特徴もあります。そして侵されると、膀胱炎となり残尿感の原因となります。その他、前立腺肥大などが要因となるケースもあります。しかし、この残尿感について西洋医学での対処は限られています。例えば膀胱炎などは一度抗生物質で良くなっても繰り返してしまうケースが多いようです。
このような時は漢方の力を借りて、体質改善に努めてはいかがでしょうか。残尿感は原則として"膀胱湿熱"が原因であると考えるのが中医学の理論です。膀胱に余分な"湿(余計な水分)"と"熱"がこもってしまっている状態です。やや難しくなりますが、膀胱には"固摂機能(水道のコックのような機能)"があり、その機能が"湿熱"によってマヒしてしまうと考えます。よってこの"湿熱"を除去するためのお薬として「瀉利湿顆粒(しゃりしつかりゅう)」や「猪苓湯(ちょれいとう)」などを服用します。また「腎」機能の失調によって残尿感が起こる場合があります。「腎」は"老化"と関係する器官ですが、その「腎」が弱るとやはり"固摂機能"に影響を与え、残尿感が引き起こされます。「腎」の失調が原因の場合は、加齢や過労が深く関係しており、頻尿や腰痛冷えなどを伴うケースが大半です。
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