便秘と下痢が交互に現れる

お通じは健康のバロメーターであることは有名です。中医学でもお通じの状態は体質を推し測る上で重要視されます。1日1回から3回、バナナ状の便がすっきりと出れば問題ありませんが、なかなか簡単ではありません。特に厄介なのが便秘と下痢が交互に現れるパターンです。便秘で何週間も苦しい思いをしたら、今度は毎日下してしまって辛い、というサイクルを繰り返す方がいらっしゃいます。便秘であっても下痢になってしまうのが心配で下剤を使いにくいですし、下痢の時も下痢止めのお薬を使ってひどい便秘になってしまうことを考えてしまいます。普通に考えてもなかなか対処が難しい状態ですよね。 もちろん中医学でもこのようなサイクルを繰り返す方の胃腸は決して良い状態とは考えません。基本的に"脾=胃腸"の疾患と捉えることは当たり前です。しかし、ここに"肝"の問題を併せて考えるのが中医学流なのです。すなわち、胃腸(脾)だけの問題ではなく、自律神経(肝)的な不具合を考慮します。専門用語で「肝脾不和(かんぴふわ)」と呼ばれる状態であることが考えられるためです。これは「肝」すなわち神経の巡りが悪くなった影響で、「脾」の制御が不能となり、その消化吸収機能が低下した状況を示します。簡単に言えば、ストレスなどで「肝」すなわち神経が緊張し、その影響が「脾」すなわち胃腸に及び、下痢や腹痛を起こすといったメカニズムです。「肝脾不和」となりますと、便秘下痢が交互に現れる症状が出ることもあれば、食欲不振や腹部の張り、ガスがたまるなどの症状が表れることもあります。そしてこの状態の改善には、「脾」だけでなく「肝」のケアが重要となります。元から断たないと「肝」からの攻撃は止まず、「脾」の症状もなかなか緩和しないのです。よって「肝」の状態を改善する「逍遥散(しょうようさん)」や「開気丸(かいきがん)」を服用することとなります。胃腸の症状だからと言って、そこだけを見ていてはいけないのですね。

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