声が出ない

声を出そうとしても声が出ないことがあると訴える方がまれにいらっしゃいます。ずっと声が出ない訳ではなく、何かのはずみで出なくなったり、突如出なくなったりするそうです。それほど多くはない症状ですが、声が出ない=話が出来ないということですから、仕事でも家庭でも生活に大きく差し支えてしまいます。ちなみに風邪の後や重い喘息でも声が出なくなることがありますが、これはまた違った理由と考えられるでしょう。 さて声が出ない原因を現代医学で解明することが出来るでしょうか?きっと検査しても何も出てこないでしょう。自律神経の問題と片づけられる程度のように思います。よって薬が出るとすれば精神安定剤などになるかもしれません。確かに一般的に考えても「緊張」や「ストレス」が、「声が出ない」という症状に大きく関与している可能性は高いと考えられます。しかし漢方では、その「緊張」や「ストレス」によって体の中にどのような変化が起こって声が出なくなるか、そのメカニズムを説明しているのです。 中医学では、「ストレス」から痰濁(たんだく=余分な水分の固まり)が生じ、それが通り道をふさぎ、舌の機能を損なうために声が出なくなると考えるのです。この際、舌がこわばったようになるだけで、声はかろうじて出せるという方もいらっしゃいます。ちなみに「ストレス」から生じた「痰濁」が気道につまると、喉のつかえ感が生じます。どちらかと言えばこちらの症状を感じる方の方が多いでしょう。 では対処方法はどのようにすれば良いのでしょうか。まず詰まったものを取り除く必要があります。専門用語で「開竅化痰(かいきょうかたん)」という性質を備えた、菖蒲、茯苓などの生薬が使用されます。ただし処方としては日本に無いため、実際には「温胆湯(うんたんとう)」などを代用するケースが多いでしょう。また、声が出ない症状が起こった時には腎陰や腎陽も不足しているケースが多く、その不足を補うことが根本解決につながっていきます。

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